構造設計部 プロジェクトPROJECTS
2019.1.4
11. 大野町道の駅
本建物は岐阜県大野町の道の駅の地域振興施設と「Oリング」と呼ばれる直径約70mの平屋の屋外回廊である。リングを介して、地域振興施設(飲食・物販棟)、トイレ・情報館、子育て支援施設をまわることで、町の特産品や情報・文化に触れたり、緑豊かな芝生広場で自然を感じたりすることができる。また地場産材で覆われた軒下空間と芝生広場を活かして地域住民と観光客がともに楽しむことのできる場が提供される。
地域振興施設
整形グリッドによる平面計画であり、南北方向に6度程度の勾配屋根とした立面形状である。 X, Y方向ともにブレース構造とし平面的にバランスよく耐震要素を配置するが、建物前面にはX, Y方向に15度程度斜めに傾斜した3本の鋼管斜め柱φ216.3を配置し、ファサードデザインと構造デザインを調和させた。
Oリング
「Oリング」は円心のずれた直径約70mの二つの円に対し、それぞれの円を36分割した位置に柱を千鳥配置し、リング状に水平トラス架構とした構造デザインである。
構造種別は、鉄骨造とし、構造形式は純ラーメン構造とする。円心のずれた形であり、偏心率を抑えるため、柱の断面を三種類(無垢φ100,φ101.6×8.5,φ101.6×5.7)として平面的なバランスを確保しつつも小径断面とし、また柱脚の固定度を上げるため、埋込み柱脚とする。
意匠設計者と構造設計者間の形態スタディやコミュニケーションを深めるため、Rhinoceros+Grasshopperによるパラメトリックモデルを構築し、ジオメトリや円の分割数、柱径をパラメータとし、層間変形角や偏心率を規定値以下に抑えるようなコンピュテーショナルデザインを行い、自社開発構造解析プログラムやデータ変換プログラムを用いてインタラクティブに建築デザインと構造デザインの融合を図った。パラメトリックモデルとしているため、変更に対する形状修正が容易であり、それに対する応力や・形が瞬時に把握でき、意匠と構造のコミュニーケションスピードが従来に比べて早く、プロジェクトの円滑化に寄与した。
設計:大建設計
所在地:岐阜県大野町
規模:地域振興施設:延床面積1,899.24m2, 最高高さ6.62m
リング:最高高さ3.62m
構造:鉄骨造
竣工:2018年
写真提供:大建設計