構造設計部 プロジェクトPROJECTS
2016.9.3
08. crowd of cloud (第3回構造デザインコンペ優秀賞)
総合資格主催 第3回構造デザインコンペのコンテスト作品である。
「まち・呼応・構造」というテーマに対し、近年の空き家や空き地の増加に伴う空地の有効利用に着目し、自分たちの手で生み、維持していく「空間づくり」の方法を提案する。
本提案では、アルミ風船とネオジム磁石を利用した構造システムとし、浮力について、比重が小さく軽量で気体漏れの小さいアルミフィルムに、ヘリウムガスを封入した風船を用いる。
磁力について、世界最強の磁石とされるネオジム磁石を用い、浮かしながら手軽に容易につなげたり、離したりすることができる構造体となる。
アルミ風船は人が容易につくれて運べる60cm ~ 1m 程度の膨らませた正四面体形状とし、基底面が三角形であるため、平面的、立体的な拡張が可能である。
また、各頂点に3D プリントを利用したネオジム磁石を内包する接合部を設け、磁石を介してアルミ風船同士を接続させる。
磁力を介してつながる風船には浮力が重力の反対方向に作用し、アーチのようなカテナリー形状となる。風船および磁石に発生する引張力は膜応力と磁力を介して伝達され、この応力伝達機構を
利用することで多様な形態を人の力だけで作り出すことができる。
一人一人の手でつくりあげる公共のスペースは、雲のような様相をなしながら、人々の活動を覆い、賑わせ、まちに呼応する。そんな「建築」未満の空間は衰退するまちに寄り添い、
私たちの暮らしと密接に醸成されることとなる。
ポートフォリオはこちら。
設計:田村尚土,浅見泰則,湧田純樹,鈴木愛実,芹川拓人
所在地:愛知県新城市
規模:2000㎡
構造:ヘリウム風船+磁石